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九州乗り潰し激旅
4日目 西都城-博多 2003年8月16日


■一番列車は格下げ車
  西都城 6:30→都城 6:33

 5時20分起床。朝風呂に浸かって身支度をしたあと「西都城」始発の一番列車を目指す。昨年3月のときも、ここで九州最終日を迎えたので思い出深い。あの時忘れていた記憶が少しよみがえってきた。

 今朝も小雨がぱらついている中、駅まで徒歩5分、だだっ広いコンコースは閑散としている。「西都城」は小さな中間駅ながら駅弁を売っている駅であるのだが早朝なのでまだ売店もシャッターを下ろしていて、結局今回も目当ての「かしわめし」は買えずじまい。青春18きっぷに今日の日付印を受けてホームへの階段を上がると、なんと昨日の夜に乗ったグリーン車の格下げ(クハ455-604)を含む編成が入ってきた。どうやら昨日の列車は「都城」までいったん引き上げたあと、今朝再び送り込みでやって来るという運用だったらしい。そこまでするほど西都城は乗客が多いのかと思えばそうでもなさそう。ただここが、都城市役所の最寄駅であることや市の中心部に近いこともあってそれなりに列車本数が確保されているようだ。
 6時30分西都城発、6時33分都城着。
乗車時間はまた3分。列車の行先は「宮崎」だが、わずか一区間しか乗れないのが惜しい。「宮崎」経由でも帰ることはできるのでこのまま乗り続けてしまいたかったが、これから行こうとする未乗の区間の乗り潰しも放棄したくない。都城で列車を後にする。
 都城駅のホームに降り立つと、リニアモーターカーの模型に出迎えられた。宮崎は旧国鉄時代「宮崎実験線」が建設された、リニアゆかりの地である。それにしても、プレートに書かれた内容が気になった。実際は1996年に山梨リニア実験線が建設されたため、宮崎での実験は終了しているのにも関わらず
「実験を行っています」と、進行形で書かれている。ここまでも放置プレイされている南九州は時が止まっているかのようだ。

夢の超特急 リニアモーターカー

宮崎県日向市にある浮上式鉄道実験センターでは、54年12月世界最高記録の時速
517キロを達成しましたので、従来の逆T字型のガイドウェイをU字型にし、人を
乗せて走ることが出来る有人形実験車「MLU001」で実験を行っています。
展示してある模型は、54年世界最高記録を出した「ML500」で実物の約6.5
分の1の大きさです。

 

展示されていたリニアモーターカーの模型

■今日も現実逃避モード
  都城 6:39→吉松 8:22

 都城で吉都線に乗り換え。接続時間は6分なのでそのまま4番のりばへ行くと、国鉄型気動車(キハ58)の2両編成が停車中だった。製造はなんと昭和37年。ということは車齢41年ということになる。3日目にも書いたことと重複しそうだが、一般の利用客にとってはぼろい車両でも自分にとってはアトラクションとしか言いようがない。窓側の席にもひじ掛けがあるあたりが急行列車用として作られたことを誇張しているようだ。
 最近よく、国鉄型車両を使用した「なつかしの○○号」なんて列車を走らせては増収を目論むようになってきたJR各社だが、そういうイベント的列車はたいてい鉄ヲタ御一行様や子供連ればかりなので、とても「なつかしむ」どころではなさそうである。普段は高校生で賑わうのかもしれないこの列車も、夏休みの今は閑散としている。本当の贅沢な旅っていうのはこういうもののことなのじゃないのかと思った。

車内のプレート。昭和37年新潟鉄工製

列車はボックス席がぽつぽつと埋まっている程度で部活通いの高校生と高校生以外が半々くらいといった感じで、その高校生以外はほとんど青春18利用の「鉄」に見えてくる。途中の谷頭、小林で対向列車と交換。小林でホームに降りていると、やはり「鉄」がいて写真撮影を始めた。そうこうしていると対向列車が到着。列車から高校生ばかりが十数人降りていった。部活動なのだろうか、これが吉都線の本来の姿であってほしい。
 今日は気の向くままにどこかで途中下車しようと思っていたのだが、次第に雨が強くなってきてこりゃ無理だと断念。そんな土砂降りの雨の中、京町温泉でさっきの「鉄」が下車していった。立ち寄り温泉もいいかもしれないと思いつつ、自分は朝風呂に入っているのでスルー。吉都線は「えびの高原線」という愛称なだけあって、このあたりは平坦な地形に敷かれた線路を走る。気付かないうちに県境を越え、鹿児島県に入ると終点の吉松まではもうすぐ。あっという間の約1時間半だった。
 南九州の未乗区間である肥薩線・吉都線は吉松を中心に三方向に伸びているため、乗り潰しにあたっては一筆書きのようにはいかなくなるのでどこかで往復しなければならないのだが、今回のプランニングでは吉松まで昨日通ったルートの逆を辿ることになる。
 ということで、西都城〜吉松は単純に往復しているだけではあるが、復路を翌日に分けていることもあるせいか、まったく苦ではない。

吉松駅、ディーゼルエンジンの音に圧倒される。

■吉松駅で時間潰し
  吉松駅

 吉松で肥薩線人吉行きの接続時間は約50分。昨日も訪れた駅なのだがここで時間を潰さなければならない。雨が小降りになったので散歩でもしようかと駅から少し歩き出したら、また雨が強くなってきたので引き返し、昨日は立ち寄らなかった待合室で待機することにした。すると、待合室に駅ノートを発見。いい時間潰しになった上、のちにこの駅ノートからさるてつ様のサイトを知ることになる。

<ムーンライト九州>の指定席が気になりだしたけど、この駅はマルス端末がないので、電話で空席照会してもらうのも気が引けたのでやめた。かわりに「吉松駅・栗野駅開業百周年記念入場券」が発売されていることを知り、来訪の記念に購入、320円也。少なからずローカル線の駅にお金を落としていくことができた。

ふたたび吉松駅構内

■特等席でスイッチバックとループ線
  吉松 9:14→人吉 10:10 キハ31 14

 吉松からは肥薩線に乗車する。こんどの列車はワンマン単行。キハ31という形式は財政難の国鉄末期に製造されたステンレス製の車両で、バス用部品の流用や新幹線の廃車発生品の転換クロスシートなど制作費を切り詰めつつもこれまでの国鉄型スタイルから脱却していて、もし分割民営化されなかったらこんな車両が全国的に増備されていたのかもしれないという予感がする車両なのだ。
 運転室が半室式になっていて、早めに列車に乗り込んだので前面の眺めが良い一番前の席をゲット。そして今朝乗った吉都線の後続列車は9時11分が到着。さっき京町温泉で降りていった「鉄」も乗り継いできたが、いい席は私が先に取ってしまったので車内の奥へ歩いていってしまった。吉松を出発すると、列車は森の中へ分け入っていき、両側みどりの壁の車窓に雑草だらけの路盤、そこに錆びかかった鉄路が2本、その上遮断機も警報機もない踏み切りが突然現われるので驚く。

運転席横でがっつき。雑草でバラストが見えない

やがて宮崎県に入ると、ATS(自動列車停止装置)の作動音ジリリリリキンコンキンコン……が鳴ってスイッチバックの駅、真幸に到着。運転士が反対側の運転席に行ってバックしたあと、再び進行方向を変えて一気に勾配区間を駆け登る。
「晴れていればここから桜島が遠望できるけど今日は見えないね…」
と、若い運転士さんが、ここが鉄道三大車窓風景のひとつであることを教えてくれた。北上している列車の車内から真横に桜島が見えるなんて一瞬疑いたくなるが、険しい地形を縫うように走るので地図を見ると確かに桜島の見える方角があることがわかる。山間部の鉄道に乗っていると、よくもこんな所に鉄道を通したものだとたびたび感心させられてしまうが、実はもともとこの路線が鹿児島本線として開通したのだという。
 このあたりは県境が入り組んでいて、宮崎県に入ったかと思ったらもう熊本県入り。矢岳でしばらく停車。ワンマンカーだと無人駅ではまず車外に降りることができないのだが、ここでは列車から自由に降ろしてくれた。それもそのはず、車内放送で
「列車にトイレ設備がないため、駅のトイレをご利用ください。」
なんとも合理的である。ホームへ降り立つと「矢岳駅標高 五三六.九米」と縦書きの木柱が建てられていた。ここが峠の頂点である。

矢岳駅でトイレ休憩

矢岳を過ぎると今度は下り勾配が続く。客室窓からでは気付きにくいが、正面から車窓を眺めているとループ線のカーブを下っている様子がよく分かる。下り勾配なのでマスコンを切った状態でディーゼルエンジンの音がほとんど聞こえず列車の走行は軽やかなのだが、速度制限超過じゃないかと思うほどカーブの中を見る見る加速されて怖かった。
 そのループ線の途中に大畑がある。勾配の途中に駅を作るわけにはいかないので、この駅もスイッチバック方式を採られている。スイッチバックとループ線の二つを併せ持つのは日本でここだけなのだという。


■食いっぱぐれの市街散策
  人吉駅周辺

 ループ線を下りると盆地が広がり人吉に到着。ここから先は急行<くまがわ6号>がすぐの連絡なのだが、真性青春18キッパーは次の普通列車まで待たなければならない。ホームの改札口横には記念スタンプがたくさん置いてあって「真幸」、「矢岳」、「大畑」、「人吉」、このあと通る予定の「一勝地」のスタンプを押印していく。そしてそろそろ<ムーンライト九州>の指定席にキャンセルが出ている頃じゃないかと期待しつつ、みどりの窓口へ直行。ここは吉都線・肥薩線の中間駅で唯一の「みどりの窓口」設置駅なのだ。さっそく空席を調べてもらうと、あった。カウンター越しに見たマルス端末のディスプレイに空席「1」の表示が!
「喫煙席なら1席空いていますが…」
喫煙席だろうが、そんなことはどうでもいい。とにかくこれでもう変な所で寝ないで帰れると思ったら御の字だ。もし、<ムーンライト九州>の指定席券が取れなかったら、山口県の徳山あたり夜を明かした上、明日は
18時間昼行列車の旅をやらなければならないところだった。
 次の普通列車の時刻は11時18分だが、熊本県の南部なんてそうは来られないので13時16分の列車までじっくり散策することにした。人吉市は古くから城下町として栄えて「九州の小京都」ともいわれるだけに人吉城跡を見に行こうかと球磨川沿いを適当に歩いていたら、どうも方角を間違えたらしく住宅地になってしまい、結局となりの矢黒橋を渡って3kmほど余計に歩いてしまった。命がけ激旅をする者にとって3kmなど大した距離ではないが、真夏の陽射し照りつける中、大荷物背負って朝から何も食べずに歩き通すのは負担が大きい。
 途中、自販機で飲み物を買う金までケチって、スーパーやコンビニを探していたが見つからず、やっとのことで人吉市役所付近まで歩いて外の水道で水分補給。市役所の近くに軽食が摂れる喫茶店のような所があったが、そこすら入る気分にならなくなってしまう。何を食べたらいいのか、目標を完全に見失ってしまった。
 木陰で休んでなんとか体力復帰。そう言えば昨日予定されていた花火大会だが、球磨川の増水のため29日に延期されたということを告知ポスターで知る。近くの神社の敷地にカモが数羽いたので、反射的にデジカメ撮影。どんなに疲れていようが動物を見ると反応してしまう自分は何なんだろう…。もうここまで来たら意地でも人吉城跡のてっぺんまで登ってやる。

人吉城跡から球磨川と人吉市街を見下ろす。
自分の足で稼いだ高さからの眺め

人吉城跡からの眺めを何と証拠写真に残し、登ってきた階段をこんどは降り、球磨川を渡って駅へ戻る。どこかで食料調達せねば…。濡れたタオルを首からぶら下げてとぼとぼ歩いていたら、よほどの激旅野郎に見えたのか商工会議所の前でそこの職員と思しき人に「ご苦労さん」と声を掛けられたり、おばあさんには「汽車の時間何分だっけ?」と、時間を尋ねられたりする。自分の手のひらにはボールペンの字で「13:16」と書いておいたので時間を教えてあげたら、このおばあさんの話しが止まらず一緒に駅まで行くことになってしまった。新聞紙に包んだ花束を持っていて、これから知人宅へ向かう途中なのだという。それもすごい熊本訛りなので半分以上話が聞き取れなかった。食料調達したいのに…。
 駅に着いておばあさんと別れたあと、人吉駅弁の販売元「やまぐち」店舗で意を決し、栗めし(890円)をやっとのことで購入する。


■引き続き特等席
  人吉 13:16→八代 14:24 キハ31 12

発車15分前、改札口を通って八代行きのディーゼルカーに乗り込む。またもや2人掛けがっつき席をゲット、購入した栗めしを食べようとしたらさっきのおばあさんも乗ってきて、隣りの席でまた話が始まってしまった。それでも空腹に耐えられなくなってきたので隣りで食事をさせてもらったが、
「今度来るときは彼女連れておいで」
みたいな事を熊本訛り?で言われ痛恨のダメージを喰らう。そんな人いればこんな事していないってば!そのおばあちゃん、一駅目の「西人吉」で降りていった。どこで降りるのかもよく聞き取れていなかったので、こんなに早く降りるとは思わなかった。

  人吉駅弁「栗めし」

 八代までの乗車時間は1時間あまり。さっきの人吉散策ですっかりバテてしまい、沿線を流れる美しい球磨川清流に目もくれず、すっかり熟睡してしまう。気が付くと終点間近なのか、車内がかなり混雑してきた。吊り革がないので掴まるところが座席の取手しかなく、立っているのも大変そうだ。


■鹿児島本線で帰路
  八代 14:52→大牟田 16:26

 混雑した列車内から乗客がどばーっと吐き出され、これまで何度か通ったことがある「八代」で初めての下車。さっき食べた栗めしだけでは物足りないので、駅前のコンビニに立ち寄りおにぎりと1リットルパック入りのレモン水を購入。例の如く半分はペットボトルに移し替えて温存、残りの500ミリリットルはがぶ飲みする。甘い系の飲み物がリッター100円で買えるという割安感だけでそれを選んでしまったのだが、糖分の摂り過ぎな気もした。お茶にしておけば良かったかも…。
 それにしても、さっきまで晴れていたのに、いきなりにわか雨に見舞われ駅舎に避難。今日はお盆休みの土曜とあってか、小ぢんまりとした改札口とホームが直結スタイルの駅舎は特急列車を待つ客や見送りの人たちで混雑していた。特急列車をやり過ごしたあと、銀水行き普通列車に乗車。3扉ロングシートの都会的な通勤型電車なのに2両編成ワンマン運転で単調な田園風景が続く。座席が全て埋まるくらいの乗車率も、熊本で一気に半減した。熊本-上熊本間は前回歩いたので新規乗車。これでJR九州管内の残る未乗区間は日豊本線宮崎〜宮崎神宮、宮崎空港線、日南線のみとなったが、この3路線は鉄道乗り潰し趣味を辞めるときの最後にとっておきたいとひそかに考えている。
 大牟田までの約1時間半、JR九州と交通道徳協会の製作した広告「乗車マナーアップで、九州のいい旅を」のポスターを見ながら、初めて九州を旅した昨年春にもこのポスターあったな…、と当時を思い出しながら列車に揺られていた。

車内の広告
(クリックすると拡大します)

■福岡県入り、適当にぶらり
  大牟田市街

八代から乗ってきた列車は銀水止まりなので、大牟田で列車を降りる。このまま乗り継いで博多まで行ってもよいのだが、その頃には日が暮れそうなので明るいうちに途中下車しておくことにする。駅は自動改札になっていて、すっかり北九州に戻ってきたことを実感する。青春18きっぷは相変わらず有人改札しか通れないが…。駅の周辺を散歩したが何もないのと疲れているのとで、駅前で休憩することにした。すると目の前に「大牟田観光プラザ」という大牟田観光協会が運営している施設があったので足を運んでみることにした。
 
大牟田市の名物と言えば、毎年7月に開催される夏祭りの「大蛇山(だいじゃやま)」だそうだが、山車が展示されていて、その大きさに圧巻。ここでは民芸品や物産品の販売やレンタルサイクル(有料)が利用できるとのことで、大牟田市は観光に力を入れているのか、と施設内を眺めて回った。

駅ホームにも大蛇山

大蛇山一色に染まった大牟田だが、自分の目を一番惹いたのは駅のそこらじゅうに掲げられた新旧とりどりの国鉄看板だった。JR各社の中で、これほど国鉄時代の看板表記類が放置され続けているのは九州のみ、それもかなり旧式のものが現役で使用されているのだ。それなのにあまり注目されていないということは、やはりいつかひっそりと消えてしまうのだろうか、そう考えると寂しくなってくる。

国鉄フォント看板の宝庫、大牟田

■特急の方は混雑、転クロで快適移動
  大牟田 17:33→博多 19:07

大牟田を出発すると、いよいよ博多で<ムーンライト九州>を待つのみとなってしまう。何時の列車で博多へ向かおうかと考えながら、駅の鹿児島本線久留米・鳥栖・博多方面」時刻表を見つつ、日中は概ね8本列車があるので安心していたら、実際は特急列車と銀水止まりの列車も含まれていて自分に関係している列車は1時間に2、3本程度しかないのだ。そんなわけで16時59分の小倉行きを逃してしまい次の門司港行き普通列車の時刻17時33分まで待たされることになってしまった。
 ホーム列車を待っていると、
その3分前に発車する特急<つばめ18号>の客室乗務員「つばめレディ」が乗務交代のためなのかホームにあらわれた。<つばめ18号>は盆休みのUターンラッシュなのか大盛況で、自由席車両に立ちスペースがないほど混雑しているとのことで、指定席車両の乗車口に並んでほしいと特急列車を待っている人たちに案内していた。特急料金を払ってまでこんな混雑する列車に乗らなければならないのが気の毒に見えてくる。博多までの所要時分は特急利用で44分なのに対して普通列車は94分掛かるので、この時間差だったら特急利用もやむを得ないだろう。

国鉄型の行先案内標識が旅情を誘う

後発の普通列車に乗ると、こっちは荒尾始発なのでガラガラに空いていた。ここからは西鉄と競合する区間を走るためか座席は転換クロスシートになっていて、南九州との待遇の差が顕著に見えてくる。久留米を過ぎたあたりから空席はなくなってきた。鳥栖からは長崎本線からの特急列車も乗り入れているので特急主体のダイヤになり、南福岡では<みどり24号>と<有明48号>の2列車通過待ちで10分停車。
 その停車中に通りかかった車掌が2列前に座っている女性3人組のところで呼び止められていた。どうやら<ムーンライト九州>の指定席が取れなかったらしく京都まで行くにはどうしたらいいか、という会話らしい。自分は<ムーンライト九州>の指定席券を入手できたのでちょっと優越感に浸りながらやりとりを聞いていたら、車掌が即座に時刻を調べ、博多で山陽新幹線の最終名古屋行き<のぞみ34号>に接続することがわかり、こんどは車掌が乗り越し精算で京都までの乗車券・特急券を売ろうとし始めた。
 車掌業務のため「すぐ来るからね」と言っていなくなったあと、しばらくしてさっきの車掌がやってきた。博多での接続時間は20分あるのでそこでもきっぷが買えそうだが、そうなるとJR西日本に売上を持っていかれるのが嫌なのだろう。一区間2〜3分しかなくてドア扱いもしなければならないにも関わらず、慣れた動作で京都までの乗車券・特急券を発券していく。なんて営業熱心な車掌だろうと感心していたら、最後に「ありがとうございます」も言わず、

「じゃあね、気を付けてね。」

と言い残して車掌業務に戻っていった。民営化されたとは言えこれが九州流のやり方なのだろうか、まだまだのどかな感じがした。

ちなみに<のぞみ34号>のあとは新大阪止まりしかないのだが、姫路から新快速を利用すれば、本日中に京都まで行くことが可能。「新幹線は姫路まで」というのが中級青春18ユーザーの頼み方である。
 余談だが<のぞみ34号>で名古屋まで行ってしまうと、なんと<ムーンライトながら>に接続して明朝には東京に着いてしまうのだ。つまり、あと丸1日九州に居ても、休み明けの始業時刻に間に合うのである。そもそも今回はお金をかけずに時間をかける旅なのでそんなことはやらずに普通列車で帰ることにする。

■夜行前に腹ごしらえ
  博多駅

<ムーンライト九州>の入線時刻まで、まだ1時間半あるので途中下車、目的はもちろんラーメン。1時間半あれば中州・天神にある屋台のラーメン屋まで行ってこれそうだが、雨が降っているのと疲労がピークに達しているのとで、博多口にある24時間営業の店でお手軽に済ませてしまうことにする。この店は以前に九州激旅したときに氏が3杯目を平らげたところである。500円で厚いチャーシューが入ったとんこつラーメンがいただけるのはありがたい。
 その後、雨も降っていたので意味もなく地下街などを無駄にフラフラ歩いていたが、この時間を利用して博多南線を往復できたことがあとから判明。
このときは後悔したが、のちにこの企画のためにどっちみち再訪しなければならなくなることとなった。

博多南線の列車時刻

博多  20:00→博多南20:10
博多南20:33→博多  20:43


■ムーンライト九州〜♪
 博多 20:53→京都 7:05

20時48分、5番のりばに<ムーンライト九州>が入線。この列車は今となっては珍しい電気機関車が牽引する客車列車、子供が喜ぶかのように嬉しかったのだ。客車列車に乗るのは昨年夏以来のこと。その青森-函館間で乗った快速<海峡>も今はなくなってしまった。
 機関車が連結されている先頭車両には展望スペースがあったりと「鉄」には大人気の<ムーンライト九州>だが、となりに座っていた年上のお姉さんは発狂しそうとのこと。これから大阪へ帰るのだという。確かに座席のピッチも狭いし寝るにはちょっと窮屈である。自分が関東の人間だということを明かしたら結構反応がよかったので、これから帰ろうとするルートを説明。
「人間駅すぱあとやん」
と言われてしまった。確かに大判の時刻表を持ち歩くのは怪しい。厚狭を過ぎて日付が変わるともう明日からはお互い仕事始めだという。しばし社会人談義のあと、車内が減光されたので就寝。

関門トンネルを抜けて下関に停車中。
ここで交直流電気機関車から直流電気機関車につけかえる。

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